Windowsがやってきた
1.
Windowsじゃないとダメなこと
1992年に初めて手に入れて以来、グラフィックデザイナーの常として、ずっとMacintoshを使ってきた。しかし、いまや世の中はWindowsユーザーだらけである。広告関連の業界でも、かつてはMacが常識だった代理店がWinに移行しつつある。というのも、クライアントからもらう資料や原稿などがWinで作成したものが圧倒的多数であるということが、おおいなる要因だ。
それでも、印刷会社がMacだし、フォントのこととかソフトの対応とか問題が多く、グラフィックに関しては今でも主流はMacだ。
しかしWEBデザインとなると、がぜん主流はWinだ。なにせ実際に閲覧する人のほとんどがWinユーザーだし、WEBデザインというのは、プラットフォームやブラウザによって見え方が変わるというとんでもない性質があるからだ。加えて若い人の台頭が激しい業種でもある。初めて使うのに、巷間にあふれているWinを使うのは当然のこと。Macに比べると、マシンの価格が三分の一くらいというのも大きい。
そんなこんなで、WEBデザイナーとして活動している私も、Winの購入を避けられなくなってきてしまったのだ。兎にも角にも、レイアウトチェックだけでもできなければお話にならない。いままでは、代理店にやってもらうというていたらくだったのだ。そして、ゆくゆくはWEBデザインをすべてWinに移行できればとも目論んでいる。
2.
はじめてのWindows購入
なにしろ、初めてである。左右にマウスが分かれている意味すらわからない。ここはやっぱり、初心者として誰かに教えてもらわなければどうしようもない、と、マシンを購入する際、セットアップをすべておまかせにして、その後初期講習を受けるサービスも一緒に発注した。マニュアル読みながら自力でやるのってしんどいし。でも、初心者とはいえ、ワープロソフトの講習なんかを受けても無駄なわけだし、主として教えて欲しいのはMacとの違いについてであることなどをFAXで説明した。
すると、購入先から電話があり、決まりきった手順しか教えられないし、10年以上Macを使っているなら大丈夫、自分でできるから、と、このサービスは返品扱いにして欲しいとの連絡が入ってしまった。2万数千円が浮いたわけなのだが、結局全部、自力でやる羽目になってしまった。なかなかラクはできないもんだ。
とりあえず、セットアップは一昔前のSCSI接続なんかから思えばはるかに簡単で、難なくクリア。これは頼まなくてよかったかも。さっそく立ち上げてみると、Macに比べると格段に親切設計ではあるのだが、とにかくキーボードの操作もよくわからないので大変。隣でMacを立ち上げて、ネットでWin初心者向けのサイトを見ながらの作業である。カタカナや記号の打ち方もわからないし、右クリックもわからない。ファイルの格納位置や全体構造もわからなければ、ソフトがどこにインストールされたのか、どこから立ち上げるのか・・・。
まったく、疲れ果てた。しかし、やっぱり共通項もかなりあるわけで、どうにか使えるようにはなり、WEBデザイン用のソフトもインストールしてちょぼちょぼと使えるまでにはなった。
そうすると、問題なのはMac、Win間のデータのやりとりである。ここで、また大きくつまずいてしまった。CD-R、CD-RWというのは、Macでも使えるから、これでやりとりできるだろうと思っていたのだが、Winで作ったWEBデザインのデータをMacにもってくると、何故かファイル名が変わってしまっているのだ。WEBデザインのファイル名が変わってしまうということは、リンクが切れてしまうということで、とんでもないことなのだ。調べたところ、こういう現象はあるらしく、解決方法はあるのだろうが、あんまりよくわからない。いままで、MO一本で、CD-RやCD-RWというのを使っていなかったのも、なんとなく憂鬱になる理由のひとつとしてあったし、ここは、根本から解決策を考えたいところだ。
3.
MacとWinの共同作業
そんな時、夫がサイトを検索して、こんなものがある、と探し出してくれたのが、LAN接続のハードディスクというシロモノだ。MacからもWinからもデータの保管ができ、ファイル名も日本語で大丈夫だという。ここにデータを整理した後、Macユーザーにはいままで通りMacからMOにデータを保管して渡せばいいし、WinユーザーにはWinからCD-Rを作って渡せばいい。これには、即、飛びついた。
快適である。これは、本当にいい買い物だった。いままでバックアップには全部MOを使っていたのだが、デザインのデータたるや半端な量ではない。数十枚のMOに整理分類し、念のために2枚ずつコピーしていたので、全部バックアップをとるのにほぼ半日がかりだった。それが、一括でまるごとバックアップができ、しかも、Winからでもデータが読める。もう、MOには戻れない。これは、念のためバックアップ用に、もうひとつ外付けHDを買わなくちゃ。
さて、WEBデザインをWinでやり始めたものの、ソフトがバージョンアップしてよく操作がわからないことがあって、Winだけではこころもとない。それに、Winにはフォントを入れていないので、タイトルなどの画像データは、Macで作りたい。そこで、このHDの出番である。このHDに保存したデータは直接ソフトから操作できるので、同じデータをWinからもMacからもいじれるのだ。そういうわけで、Winで作り、よくわからなくなったら、Macに移って作るという実に快適なシステムができあがった。
だから、バックアップ用といいながら、WEBに関しては逆使い。MacのHDの方がバックアップ用という不思議な使い方になっている。
4.
Windows vs. Macintsh
WinはMacに比べると格段に親切設計であると書いたが、人によっては余計なおせっかいと思われかねないほど、親切であると思う。が、システムのことにあんまりかまけたくない私のような人間にとっては、かなりうれしい。バージョンアップとかウィルスチェックとか、適当な頃合で勝手にやってくれるのだから。Macを使い慣れたものとしては、好きにシステムがいじれないなんてなじめないかな、と思っていたのだが、いじれなくてむしろ有難い開放感がある。
それと、なんといっても驚いたのは、その速さである。ネットの閲覧、特にpdfファイルの閲覧の早さには驚愕した。いままで、ネット上でpdfファイルがあっても、動きが遅いからあまり見ないようにしていたのだが、これが本来の速さだったわけか。仕事でも、pdfファイル満載のサイトをよく作っていたのだが、こんなとろくさい動きで、本当にみんな見るのかななんて思っていたのだけど、ようやく納得。世間の人達はこんなにサクサクとネット活用していたのか。
対して、ネット閲覧に関するもうひとつの驚愕。画面がきたなーい。画像もなんとなくピンボケ風だし、ことに文字がきたなくて読みづらい。エッジのギザギザが目立って、さらにそれがにじんだようになっている。これじゃ、10ピクセル程の小さい文字だと、何が書いてあるかもよくわからない。おまけに、かっこや句読点、記号などのたぐいの字間が詰まって表示されるところも気に食わない。自分の作ったサイトを見てびっくり。そして、がっくり。ビシバシに美しい画面作りを心がけていたつもりだったのに、それが、こんなだったとは。やっぱり、WinなしでWEBデザインなんて、やっちゃいけないことだったわけか。
しかし、またもや驚き。Winは文字がきたないとの感想を、Macも使っている代理店の数人に言うと、みんな「え、そう?そんなの気がつかないけど」との返事。私が個人的に文字に異様に執着するタイプなのかもしれない。けど、でも、やっぱり・・・デザイナーとしては。
まあ、いまのところ(使い始めて1ヶ月)Winに対する私の感想は、良くもあり、悪くもあり、で五分五分といったところ。今後、どう展開していくことやら。
5.
絶妙のタイミング
私のWin購入と時期を同じくして、付き合いの深い仕事先がMacからWinにほぼ全面移行した。頻繁にあるメールでのデータのやりとりが、ほぼWinからのみになってしまったのだ。
メール受信は、いまのところMacでやっているのだが、Winからきた圧縮データを解凍すると、しばしばファイル名が文字化けをおこす。そういう場合、圧縮データを先ほど出てきたLAN接続のハードディスクに保存し、Win上で解凍し、Macにもどしてやればいいわけで、まったくいいタイミングで導入したものだと思う。
そこへもってきて、すさまじい忙しさがやってきた。仕事が怒涛のごとくやってきて、中には当然、グラフィックもWEBもある。こういうとき、Mac一台では負荷がかかり過ぎてフリーズが頻発するのだが、フリーズの主原因ともいえたMicrosoft Officeや、サイトとPDFファイルの閲覧をWinが引き受けた形になって、Macも負担が軽くなり、かなりいい感じである。
Macでグラフィックの仕事をしながら、WinでWEBの仕事を同時進行という離れ業もこなせるようになってきたことだし、以前には、かなり懐疑的だったWinだが、まったく導入してよかった。やっぱり、WinとMacのどっちがいいというより、2台あるととても便利ということだ。
2006年5月13日