体調不良の意外な理由
1.
膝痛にはダイエットとゼラチン
今年前半、おそろしく体調が悪かった。
まず、足がやられた。以前ジョギングのせいで踵が痛くなり、いったん止めていたのだが、それも痛くなくなったことだしと、またちょぼちょぼと一昨年あたりから走っていたのだが、再度踵が痛みだし、加えて膝までなんだかカクカクするようになってしまった。カクカクは次第に痛みに発展し、またもや整形外科のお世話に。そして、高齢の女性によくある変形性膝関節症になってしまったことが判明し、やっぱり「ジョギングなんてとんでもない」ということになってしまった。病名を聞いただけでがっくりと老けた気分。もう一生走れないのか、というのもかなりブルー。まあ、そこそこ歳は歳なんだから仕方ないか。まったく足は私のウィークポイントのようだ。
しばらく痛みをとるために病院通いをし、電気刺激療法というものをやってみた。だがそれだけじゃ弱い。やっぱり体重が大いなるネックに違いないということで、仕方ない、ダイエットにも力を入れることになった。方法は以前成功した低糖質ダイエットを基本に、やや自己流にアレンジして。ということで、とりあえずご飯や麺類の代替として、豆腐や湯波、おからなど大豆製品を大活躍させることになった。食生活大変換である。
そうこうするうちに、某テレビ番組から「足の関節が悪くなって歩けなくなった動物園の象が、ゼラチンを摂取し続けたことにより歩けるようになった」との情報をGET。こちらは藁にもすがりたい心境なので、迷わずゼラチンを買いに走り、ここからしばらくせっせと毎日ゼリーを食べる生活をしてみた。しばらくすると、ダイエットの効果か、ゼラチンの効果か、はたまた心理的なものなのか、膝の痛みが軽減して歩くのが楽になったように思えてきた。なかなか、いい調子である。
ところがこの頃から、いったんかなり収まっていた更年期障害のためと思われるホットフラッシュが、程度も頻度も一番ひどかった当時の5割増というひどさで頻発するようになった。夜中も3〜4回はコンスタントに暑さとほてりのために目が覚めてしまうため、寝不足が続く。続く寝不足のためか、ほてりの疲れからか、昼間はだるいし、気力は衰えるし、足は痛いし、非常識なくらい大汗をかくせいもあって出かけるのもためらわれる。めっきり年寄り臭い日々になってしまった。
世間のみなさんは、定年退職した後も再就職先を探すのがあたりまえっていうくらい、歳とってからも元気で働いている人だらけなのに、まだそんな歳にもなっていないのに、「ぼちぼち隠居かなあ」などという発言が出るほどの気力体力の無さ。人ってこんなにも急に年寄り臭くなっちゃうもんなんだろうか。
数ヶ月こんな風に暮らすうちに、ホットフラッシュの異常さがさすがにひっかかりだした。更年期障害にしてはいくらなんでもおかし過ぎる。原因は別にあるのかも。とはいえ、ネット検索してもよくわからない。いったいどうしちゃったんだか。
そしてある朝、起きると首の周りに赤く蕁麻疹が出ていた。それから数日、蕁麻疹はいっこうに引かず、あまりのかゆさに夜眠れない程だったので、病院でステロイド軟膏をもらい、それをつけた。それでとりあえずは良くなったけど、原因はわかっていないし、薬が切れたらまた出てくる可能性は大である。またひとつ悩ましい症状だ。
2.
蕁麻疹といえばアレルギー
実は私は6〜7年前、日光アレルギーを発症し、日に当たると腕に蕁麻疹が出てしまっていたことがあった。どうしてだか千葉に引っ越した頃から直っちゃったんだけど。だから、海風がいい作用をしたのかなあ、と勝手に自己分析していた。ともあれ、蕁麻疹を見た時、日光アレルギーが再発した!と当然ながら思った。が、よくよく考えると、いつも外出時はタオルマフラーを巻いていたから、首周りは日光にさらされていないはず。むき出しの腕に蕁麻疹は出てないから、日光アレルギーではない。
でも、蕁麻疹といえば疑われるのはやっぱりなにかのアレルギー。思い返せばこの頃、ダイエットだのゼラチン摂取だの、食生活が大幅に変わっていた。やっぱり何かの食べ物のせいの気がする。そして、アレルギーを疑いだすと、なんだかホットフラッシュもアレルギーのせいなんじゃないかという気がしてくる。
では、食物アレルギーだとして、一番疑わしいのは、それまでほとんど摂取していなかったゼラチン? 仕方ない。ゼラチンはきっぱり止めてみることにした。蕁麻疹は病院でもらった薬で一時退散しているので、ゼラチン断ちの効果ははっきりとはわからない。そして、これは心理的なものだかなんだか、また膝の具合が徐々に悪くなってきた。そのうえ、薬をやめてから日にちがたつと、また首周りがかゆくなってきた。では、ゼラチンは関係ないのか? でも、また摂取する度胸もなくなっている。どえらく気弱にもなっていたのである。
膝はまたけっこう痛みだしたため、今度は別の病院で、関節にヒアルロン酸の注射という方法に変えてみた。が、痛みはほとんど変わった気がしない。効果がある人には、1回注射しただけでかなり痛みが軽減するという話なのだが。いろいろ八方ふさがりで、気力はますます萎える一方だ。病院での待ち時間の最中にもホットフラッシュに苦しめられるし。
というわけでアレルギーはやっぱり疑っていたので、さらにサイトで情報を集めた結果、遅延性アレルギーというのが疑わしく思われだした。これは通常よく言われるアレルギーとは別物で、反応がゆっくり出てくるというもの。日本では検査をやっていないので、アメリカまで血液を送ってむこうの研究所でアレルギーチェックをしてもらう。当然保険はきかないので高額だ。が、このところのいろいろの体調不良は明らかに異常だし、まあ一回やってみるか、ということになった。
そこでこの検査をしてくれる病院に行き、検査をしてもらった。検査結果がわかるのはおよそ3週間後だという。こういう状況での3週間のなんと長いこと。仕方ないので、推理小説の犯人探しのような、探偵ごっこをやって日々を過ごすことになった。キュウリかな、いやチーズが怪しい、と次々食べない食品を増やして様子をうかがっていた。単独犯とは限らないので、疑わしい食べ物を避けていくと、悲しいことに食べられるものがだんだん減ってくる。やっぱり自力での犯人探しは、ちょっと無理があるかも。そしてあれは違う、これも違うとなり、大豆に濃厚な疑いがかかった頃、検査結果が判明した。
3.
保険がきかないアレルギー検査
遅延性アレルギーとは、食物を摂取してから数時間〜数日後に症状が現れる。その症状は多彩で、頭痛、めまい、鬱、肩こり、慢性疲労、便秘、下痢、蕁麻疹、肌荒れ、にきび、アトピー、多汗、筋肉痛、関節痛、鼻づまり、むくみ、肥満、などなど、ありとあらゆる症状なので、とてもアレルギーと結びつくとは思えないものだ。そして、現状日本国内で検査が行われていないことは前述の通り。
その検査というのは、人間が普段食べていそうな食物のうちの96種類を検査するもので、どの食物にどれくらい反応するのかがグラフで出てくる仕組みになっている。元々アメリカの検査なので、基本はアメリカ人向けで、普通のアメリカ人が普通な食生活をしていたら食べるものがターゲットになっている。そして、その他にベジタリアン向けとか、スパイスに特化したものとか、日本人向けとかの検査があり、その中から選ぶことになっている。複数選ぶこともできる。
私はもちろん日本人向けの検査をした。その結果、ほとんどの食物が無反応〜低いレベルで、ただふたつのみが非常に高いレベルだった。そのふたつとは卵黄と卵白。犯人は大豆でもチーズでもなく、卵だったのだ。ただし、検査項目にゼラチンは入っていなかったので、これはまだグレーゾーン。
卵。子どもの頃からほぼ毎日のように食べてきた卵が犯人。にわかには信じがたいことである。いったいいつから? 震災の時、たまたま家に卵が切れていて、店には卵が売っていなくて、その時以来、卵欠乏恐怖症のようになって、常に買い置きが十数個以上はあるようにはなっていたけど、そのせいであんまり食べ過ぎたんだろうか? 卵が無い食生活なんておよそ考えづらいが、こうなったらなんとかやっていかなくちゃ。ということで、ほぼ卵とは縁切り状態になった。といっても、遅延性のアレルギーの場合、アナフィラキシーショックのような重篤な症状にはならないらしく、つなぎで使うくらいならばOKだし、半年くらいたったら、ちょっとずつ食べてみて様子をみるように言われていたので、現在でもマヨネーズ程度は許容している。
そして卵断ち3日が経過した。これが、驚異的に絶好調。ホットフラッシュは全然なくなり、蕁麻疹もかゆみもない。気分は晴れやか、だるいのもなくなって、このすさまじい暑さの中、掃除をしたり出かけたりの行動を起こす気になっている。10歳くらい若返ったような気分である。
その後さらに日数が経過し、とりあえずやめたままだったチーズや大豆、ゼラチンもびくびくしながらまた食べ始めた。それでも、好調は続いている。しかも、3回注射に通ったのにまるで改善が認められなかった膝が、4回めにして痛みが軽減。これももしかしたら症状のひとつである関節痛だったんだろうか? とにかく今のところ、なにもかもが上向きに作用している。
恐るべし、アレルギー。保険がきかないから検査に3万円以上もかかってしまったけど、ここまで体調がよくなってくれるなら安いものだ。本当に気がついてよかった。というか、よくぞ蕁麻疹がでてくれた。蕁麻疹がなきゃ、いまだにアレルギーなんて疑いもしなかったと思う。たぶん、一生アレルギーのせいだとは気がつかずに、あれやこれやの体調不良をかかえている人々はたくさんいるんだろうなあ。
2013年8月18日